Kaggleでコンペに参加してテーブルデータを扱う際、GPUを活用することで大幅に処理速度を向上させることができます。しかし、始めたばかりの頃は「GPUってどう使えばいいの?」と戸惑う方も多いはず。
ここでは、Kaggleで利用可能なGPU環境と、GBDT(勾配ブースティング決定木)モデルでの使い方に絞って、分かりやすく解説します。
1. Kaggleで利用できるGPU環境
Kaggleでは、コンペ参加者向けにGPUが提供されています。代表的な例としては、P100やT4×2があります。
- P100:
1台の高性能GPUで、単一の処理において非常に高速な計算が可能です。GPUアクセラレーションの恩恵をシングルGPUで受けたい場合におすすめです。 - T4×2:
こちらは、2枚のT4 GPUが割り当てられる環境です。複数のGPUを並列に使用できる可能性があるため、特定のライブラリやモデルでマルチGPUを活用できる場合、より大規模な計算を効率的に行うことができます。ただし、全てのライブラリがマルチGPUに対応しているわけではありません。

2. GPUのメリットと使いどころ
GPUを使用する最大のメリットは処理速度の向上です。特に、データの前処理やモデルの学習において、以下のような状況で効果を実感できます。
- 大量のデータ処理:
膨大なデータを扱う場合、CPUだけで計算すると時間がかかることが多いですが、GPUを使えば大幅に処理が高速化します。 - GBDTモデルの学習:
XGBoost、LightGBM、CatBoostといったGBDTモデルはGPUをサポートしています。
これらのモデルは、設定やコード内でGPU使用のフラグを有効にするだけで、自動的にGPUを活用してくれます。(具体的な設定の仕方はこの後説明します。)
3. 各GBDTモデルとGPUの使い方の違い
XGBoost
- GPUサポート:
以下のようにdeviceパラメータを”cuda”とするだけで、自動でGPUを検出し使用してくれます。
reg = XGBRegressor(device="cuda")
clf = XGBClassifier(device="cuda")
- 注意点:
XGBoostは複数のGPUを並列に使用する機能は備えていません。つまり、T4×2環境でも基本的には1枚のGPUしか利用されず、シングルGPUとして動作します。
LightGBM
- GPUサポート:
LightGBMもGPUを利用して学習を高速化することができます。
こちらはXGBoostと値が異なりdeviceパラメータを”gpu”とすることで使用してくれます。
reg = LGBMRegressor(device="gpu")
clf = LGBMClassifier(device="gpu")
- 注意点:
同様に、LightGBMはマルチGPU対応ではないため、T4×2環境の恩恵は1枚分のGPU性能に依存します。
CatBoost
- GPUサポート:
CatBoostはGPUによる学習をサポートしており、かつマルチGPUの利用にも対応しています。
以下のように、task_typeパラメータを”GPU”とするだけで使用してくれます。
reg = CatBoostRegressor(task_type="GPU")
clf = CatBoostClassifier(task_type="GPU")
- メリット:
KaggleのT4×2環境では、2枚のT4 GPUが自動的に活用されます。
正直なところ自分はあまりその恩恵を感じたことはありませんが、早くなっているようです。
4. まとめ
- GPUを使うと処理が早くなる。
KaggleではP100やT4×2といったGPU環境が提供されていますが、どちらも「処理が早くなる」という共通のメリットがあります。 - GBDTモデルでのGPU活用は非常に簡単。
これらのモデルでは、パラメータを一つ変更するだけでGPUが利用されます。
reg = XGBRegressor(device="cuda")
clf = XGBClassifier(device="cuda")
reg = LGBMRegressor(device="gpu")
clf = LGBMClassifier(device="gpu")
reg = CatBoostRegressor(task_type="GPU")
clf = CatBoostClassifier(task_type="GPU")
- マルチGPU対応はCatBoostのみ
XGBoost, LightGBMではマルチGPUには対応していないため、T4×2環境でも実質シングルGPUの性能となります。一方、CatBoostはマルチGPUに対応しており、T4×2の環境で2枚のGPUを活用できるので、大規模データの学習をさらに加速させることが可能です。
GPUの活用方法を理解しておくことで、Kaggleでのモデル開発や実験が格段に効率的になります。
この記事が、GPUを使ったGBDTモデルの学習やKaggleコンペでの実践に役立つ一助となれば幸いです。
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