GBDTの気持ちになって考える特徴量エンジニアリング

実践

XGBoostをはじめとするGBDT(勾配ブースティング決定木)は、数多くのタスクで高い予測性能を発揮する強力なモデルです。しかし、その真のポテンシャルを引き出すためには、適切な特徴量エンジニアリングが不可欠です。ここでは、私の経験をもとに、GBDTが効果的に活用できる特徴量の作り方や評価方法について解説します。

データの本質的な情報の把握と前処理

まずは、データがどのような本質的情報(目的変数に影響を与えるパターンや傾向)を持っているのかを正確に把握することが基本です。

  • 前処理の基本
    欠損値や外れ値の処理、カテゴリ変数のエンコーディングなど、基礎的な処理を丁寧に行いましょう。
  • エンコーディング手法について
    カテゴリ変数のエンコーディングとしては、まずラベルエンコーディングやワンホットエンコーディングが考えられますが、GBDTにおいては Target Encoding(ターゲットエンコーディング)が特に有効なことが多いです。実際、CatBoost などのライブラリにはターゲットエンコーディングが内蔵されているため、モデル側で自動的に処理されるケースもあります。各カテゴリが目的変数とどのように関連しているかを反映した値に変換することで、GBDTに対して有用な情報を提供できます。

2. 特徴量追加と相互作用の活用

特徴量エンジニアリングでは、単一の特徴量だけでなく、特徴量間の相互作用を捉えることが大切です。

  • 相互作用項の生成
    数値変数やカテゴリ変数同士を文字列に変換し、連結することで相互作用項を作り出す方法があります。例えば、2つのカテゴリ変数を連結し、Target Encoding を施すことで、個別のカテゴリ情報だけでは捉えきれない相互関係を表現できます。

コード例:相互作用項の生成とターゲットエンコーディング

import pandas as pd
import category_encoders as ce

# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
    'cat1': ['A', 'B', 'A', 'C', 'B', 'A'],
    'cat2': ['X', 'Y', 'Y', 'X', 'Y', 'Z'],
    'target': [10, 20, 15, 10, 25, 20]
})

# 相互作用項の生成:各列を文字列に変換して連結
df['interaction'] = df['cat1'].astype(str) + "_" + df['cat2'].astype(str)

# ターゲットエンコーディングを相互作用項に適用
encoder = ce.TargetEncoder(cols=['interaction'])
df['interaction_encoded'] = encoder.fit_transform(df['interaction'], df['target'])

display(df[['cat1', 'cat2', 'interaction', 'interaction_encoded']])

3. 継続的な評価とフィードバック

新たな特徴量を追加したら、その都度モデルの評価(CV)を行い、その効果を確認しましょう。

  • CV(交差検証)
    各特徴量追加後に、CVスコアや特徴量重要度を確認し、精度が向上した場合はその特徴量を残し、さらに新たな特徴量の追加や改良を試みるサイクルを回します。
    これにより、どの特徴量が実際にモデルの性能向上に寄与しているかを定量的に把握でき、改善の方向性が明確になります。

4. まとめ

GBDTの性能を最大限に引き出すための特徴量エンジニアリングは、以下の3つのポイントに集約されます。

  • データの本質を理解する
    前処理や基本的なエンコーディング手法に加え、GBDTに特に有効な Target Encoding を活用し、目的変数との関係性を反映させる。※効かない場合もあります
  • 相互作用項の生成と分布情報の充実
    astype(str) + “_” + astype(str) による相互作用項の作成と、それに対するターゲットエンコーディングは、モデルが単一の特徴量だけでは捉えきれない関係性を学習するために強力であることがしばしば。
  • 継続的な評価と改善のサイクル
    CVでの評価を通じ、追加した特徴量が予測精度向上に寄与しているかを確認しながら、フィードバックループを構築することで、最適な特徴量エンジニアリングが実現できます。

機械学習モデルは非常に賢く、我々の頭で捉えきれない特徴も難なく見つけられるようになってきています。私たちの役割は、モデルが必要とする情報をできるだけ正確かつ効率的に提供することにあるかと思います。経験と実践を重ねながら、GBDTの気持ちになってデータの本質を捉え、最適な特徴量を設計していきましょう。


以上、GBDTに向けた特徴量エンジニアリングの戦略について、簡単に解説しました。
この記事が、実践的なヒントとなれば幸いです。

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